日本外国特派員協会講演
日本外国特派員協会の講演(2001.11.26)から
小泉政権ができて7ヶ月たちますが、小泉政権の改革に反対するグループが水面下に潜っていたのがやっと地上にでてきた。
その先頭が、松岡利勝さんたちですが、私はあの人たちの動機はきわめて不純だと思っている。
なぜならば、あの人は農水族なんです。
農水はもっとも構造改革が遅れている分野、日本の予算が最も無駄に使われているのは農業予算なんです。その筆頭が松岡さんなんです。
私はあの人はきれい事を言っていますが本音は自分の利益を守ろうとしている。
ちなみに松岡さんたちのグループに集まった人たちは、道路族と農水族なんです。ですから、既得の権益を守ろう、なんとか小泉改革をつぶそうとしている。
絶対にこれを見逃すことはできないということで、先々週、民主党に小泉改革を応援する50数名のグループができまして、そのグループの人たちと秘密裏に会合を持ちましたら、それがなぜか野中広務にばれまして、野中広務から私たちは大変に怒られましたが、私は野中広務なんて自民党の代議士と思っていませんから、何を言われても気にしません。
テロの問題についてお話しますと、昨日、新しく出来ましたテロ特別措置法案に基づきまして3隻日本を出航しました。実を言いますと私は今、防衛庁政務官をやっていますが、イージス艦を是非とも派遣したいと考えていました。
イージス艦を持っているのは、日本とアメリカだけです。
アメリカとの同盟関係を考えたらどうしても派遣しなければならない、そして派遣したからといって憲法に触れるわけでもなんでもない。他の護衛艦ならいいけれどもイージス艦ならだめだという理由は何もありません。
しかし、自民党の中で、今申し上げました野中広務が、けしからん、憲法に触れると、どこが憲法にふれるかさっぱりわかりませんが、憲法に触れるとバカなことをいいだしまして、自民党の最高意思決定機関は総務会というところですが、その総務会で野中広務、山中貞則、本来ならばとっくに引退しなければならない人たちが、がーがー騒いだので、結局イージス艦を派遣することができなかった。
これは私は本当に残念なことだと思っています。
9月11日にアメリカで同時多発テロが起こったんですが、このテロが起こったときの、日本、アメリカ、イギリスなどの対応を見てみますと、大きな違いは、アメリカやイギリスはこうしたテロが起こったとき、危機管理の問題が起こったときに、与野党、国民の意見がほぼ一致する。
ところが日本は残念なことに、こういうときにいろいろばかなことを言うやつがいっぱいいる。国論が一致しない。ここが日本の大きな問題なんです。
今回のテロで、一番私共が感動したのは、イギリスのブレアさんの発言でして、「行動することに当然リスクは伴う。しかし、行動しないことによるリスク、行動することのリスク両方を考えたときに、行動しないことのリスクのほうが遙に大きい。したがって私共は行動する。」ということを言っておられる。
これは私はすばらしい発言だと思います。
対しまして、日本では何もしないことがいいんだという考え方が、今までもそうであったし、今回もそのような馬鹿な発言が、先日ここにこられた辻元さんも同じようなことを言っておられましたが、こんな馬鹿な発言が今尚まかり通っている、国会でもまかり通っている、国民にもまかり通っている、何もしない、ただ憲法だけをありがたがっていれば平和は訪れるというこういう馬鹿な考えが今尚依然として日本の中にまかり通っているという現状だけはご認識いただきたいと思います。
ですから日本は戦前も戦後も変わってないと思う。
戦前は中国大陸に行って身勝手なことをやった。戦後は逆の意味で身勝手。なんにもしない。平和は世界各国、外国の人たちが勝手にやってくれと。日本は何にもしませんよという意味で、戦前も身勝手、戦後も身勝手。やりかたは違いますが、身勝手という意味では全く変わっていないと思います。
今回アメリカで残念なテロが起こりましたが、日本もテロに無縁ではありません。
今まで日本もいろいろなテロを経験してきました。しかしほとんど何もやってきませんでした。
いくつか例を申し上げますと、まず、日本赤軍のテロ事件が世界各国で起こりました。
私は1977年9月にバングラデシュのダッカで日本赤軍が日本航空機をハイジャックし、日本の獄中にいる6人のテロリストを釈放しろ、600万ドルのお土産をつけろという時に当時の福田建夫総理大臣は「人命は地球より重い」というバカなことを言って6人のテロリストを釈放し、600万ドル渡した。
私は急遽日本赤軍の捜査を担当するということで警察庁の担当チームの一員となり、ベイルートに何回も行きました。ベイルートに行ったときに、レバノンにある日本大使館は、何一つ手伝ってくれなかった。
その理由は何かというと、レバノンには日本赤軍がいる。そこに日本の警察が捜査に来て、それを日本大使館が手伝ったということがわかれば、自分たちが危ない、怒らせてしまう、だから手伝わないと言った。
私がレバノンに行ったときに捜査を手伝ってくれたのは、現地にある日本大使館ではなく、アメリカ大使館だった。だから日本の外務省の問題は今、金だとかいろいろ言われているが、一番の問題はここにあるんです。
他にもいくつか例をあげさせていただきますと、今年5月1日に金正男という北朝鮮国家主席の長男が日本に偽造旅券で入ってきた。
このとき旅券を見たら、過去に何回も偽造旅券で入ってきていたことがわかった。
私がこの情報をつかんだのは5月2日。これは絶対に帰しちゃいけないと私は何回も言った。
少なくとも他の、偽造旅券で何回も入ったやつと同じ待遇で帰さないとダメだと。
北朝鮮と日本は国交がありません。北朝鮮は日本人を拉致している。いろいろな問題がある。それを除いても、少なくとも他の国から偽造旅券で何回も入ってきているやつと同じ待遇で取調べをしなければだめだと申し上げた。
普通偽造旅券で何回も入ってきたやつの場合は、最低でも1週間は留め置くんです。
なぜかというと、この偽造旅券をどこで入手したか、日本に来て何をするつもりだったのか、迎えにきているやつは誰なのか、どこのホテルに泊まるつもりだったのか、全部調べる。
ところが、今回、北朝鮮の金正男の時は、北朝鮮国家主席の息子だとわかったとたんに、政府はすぐに帰そうとした。
5月1日に入ってきて、そこで私は5月2日にわかったので、ちょうど小泉政権ができてすぐだったんです、5月3日になって政府の大臣級の人何人にも電話したんです。これはこのまま帰したら絶対に日本の国益を損ないますよということで電話した。そのときに今の閣僚の返事はなんだかわかりますか。「北朝鮮を怒らせたら困る、北朝鮮からミサイルが飛んできたら困る」こんなバカなことばっかり言ってるんですよ。
小泉政権の閣僚ですよ。これで日本の危機管理なんかできますか。それであの時、連休中で国会議員は東京にいなかったんですが、10人くらいで絶対に帰しちゃだめだという声明を出したんです。声明を出してあばれたんですが、人数が少なくてどうにもならなくて、結局政府は5月4日にそそくさと、特別待遇で帰したんです。飛行機のファーストクラスを借り切って、法務省から高官3名、外務省から高官3名つけて、北京に帰しちゃったんです。
皆さんご存知だと思いますが、そのときに、テレビで、金正男が飛行機のタラップを上っているところを、写真に撮られたんです。首相官邸が怒ったのは、誰がテレビに撮らせたんだということを怒っているんです。あれは撮らせる予定はなかったと。
ようするに、あれはテレビカメラが待っている報列の10メートルくらい先に車をおろして、その報列の中を歩かせたんですよ。女と子ども連れで。そしたらカメラがみんな撮って世界中に流したから、あれが金正男だという事がわかったんですが、日本の官邸と言うのはバカだから、その写真を撮らせたことを怒っているわけ。
ということは、日本の官邸はこれをこっそり処理しようとしたわけですよ。
私は唯一あの段階で評価できることは、あそこで写真を撮らせたことなんです。それにもかかわらず、名前を言ってもいいと思いますが、官邸の古川という官房副長官は写真を撮らせたことを怒っているわけなんです。だからこれくらいとんちんかんなのが、今日本のリーダーにいるということなんです。
日本は北朝鮮との関係では拉致された人間は、最低で10人、それ以外にもかなりいるはずなんです。これだけいるにもかかわらず、帰せという声が日本で起こってこない。マスコミも含めて。
なぜマスコミは声を大きくして言わないかというと、北朝鮮のご機嫌をそこねたくないから。
自分たちが取材するときに便宜を図ってもらえない。だから北朝鮮に拉致された人間を帰せとほとんど言わない。国会議員にもいます。
このまえここで話をされた辻元さん。
あの人は北朝鮮にも行ってるんですよ。北朝鮮に拉致された人間を帰せと言った事がありますか。一度だってないんですよ。社民党も共産党も。
そしてよど号(テロリストで自主的に北朝鮮に行ったやつ)の奥さん、この人たちを人権の問題で日本に帰せということは盛んに言っている。自分の意志で北朝鮮に行ったやつのことは帰せと盛んに言って、拉致された人を帰せと一言も言ってない。だから、いかに日本の政治家の中にニセモノがいるかということを是非わかっていただきたい。
今回のテロが起こって、日本としてとり得る事は3つあります。
1つは、日本国内がテロから襲われるのを防ぐために日本として何をすべきか。
2つ目に、アメリカや他の国がアフガニスタン近辺でいろいろ展開する、それに対して日本としてどういう協力ができるか、それと同時に被災民にたいする救援としてどういうことができるか。
3つ目に憲法の制約があるから、憲法やそれに付随してくる、武力行使一体化論、集団的自衛権、これを見直したらどうか。大きく分けて今回この機会に日本がやらなければならないことは、この3つだった。
1つ目の日本国内をテロから守ることについてですが、日本国内にはテロのターゲットになりそうな施設がいっぱいあるんです。
米軍基地、自衛隊の基地、アメリカ大使館、皇居、原子力発電所、いろいろあります。私たちはこれを自衛隊が守れるようにしましょうと。今まで自衛隊はこれをいっさい守れなかった。自衛隊の施設も守れなかったんです。
防衛庁に行きますと入口に自衛隊の兵隊が立っていますが、あの弾は空っぽなんです。
自衛隊の施設も今まで自衛隊は守れなかったんです。しかしこれから自衛隊、米軍の基地だけじゃなくていろいろなところを守ろうということで、自衛隊法の改正をやろうとしたら、またここで出てきたのは野中広務。
絶対に自衛隊はやってはいけないということで猛反対しまして、最終的に自衛隊ができることになったのは、自衛隊の基地、米軍の基地、これだけはいざという時には自衛隊が守れる、それ以外の原子力発電所や重要警備対象施設はいっぱいあるが、これは警察がやるということになった。
私はこれには猛反対した。
なぜならば、治安が悪いんだから警察はパトロールすればいいんです。交番にいればいいんです。だけれども野中広務や他にもいっぱいいますが、そういう人たちは、自衛隊は国外で活動するもので、国内は全部警察がやれという。しかし警察官は人が足りないんだから、私は、警察官はパトロールなどをやって、原子力発電所などの重要な施設を自衛隊が守れるようにしたほうがいいということを言ったんですが、残念ながらこれが通らなかった。野中さんたちの声に押された結果なんですが、非常に残念だと思ってます。
2つ目に米軍等への協力、日本が独自に被災民難民救援活動をすることにつきましては、テロ特別措置法案というものができました。
これは欠陥がいっぱいあります。例えば武器使用について、今までPKOで行った部隊について、自分と、同じその仲間の自衛隊員しか守れない、そこに総理大臣が視察に来て、総理大臣が襲われても守れない、というのが今までのPKO法案だった。
今回のテロ特別措置法案では、自己の管理下に入ったものは守れる。管理下とは何かというと、さっぱりわからない。こんなさっぱりわからなくて自衛隊員が現場に行ってどうするんですか。人によっては、「伏せろ」と言ったときに伏せてくれる人が管理下だという人もいるんです。ではこの「伏せろ」は何語で言うんですか。
日本語で言ったって、わからない人は全然伏せてくれない。だからこの管理下というのがどういうことか、さっぱりわからない。いずれにしろ今までは一緒に勤務する自衛隊員しか守れなかった。それが今度は管理下と言うことでその概念が広がったことは間違いないが、ではその管理下は具体的に誰を意味するのか、総理大臣が来たら総理大臣を守れる、これはいいでしょう。
しかし、外国の部隊を守れないことは依然として変わりないわけで、一緒に勤務していながら、すぐそばにいるのに、この人は守れる、この人は守れない、こんなばかな法律を作ったということについては、一歩前進とはいえ、私は非常に残念だなと思います。
武器使用は非常に大事なことなんですが、一つだけバカらしいことを言いますと、自衛隊員が海外で勤務しています、自衛隊員が拉致されたとします、その拉致された自衛隊員を追っかけていってそれを取り戻すことができるか、今の法律でも今度の新しい法律でもできないんです。法律で、もし取り戻すことができる場合は、拉致して逃げていく犯人たちがもう一回戻ってくる可能性がある場合には、自分たちが危なくなる可能性がある場合には取り戻せるんです。ばかげてばかげて、説明するのもいやになる。
3番目の憲法の問題、集団的自衛権、武力行使一体化論につきまして。集団的自衛権はあるけれど行使できないというこんなバカなことはないんで、これを解釈で変更しようという意見もありますが、解釈で変更すると新しい総理大臣になると、またできるとか、できないとか、総理大臣によってくるくる変わっても困る。従って私たちは今、憲法を改正するのではなく、安全保障法という新しい法律を作って、その中で集団的自衛権はあるけれど、当然行使はできるということを考えている。
私にとって大きな自衛隊の海外での活動のターニングポイントは、犠牲者が出た場合なんです。
その場合、考え方は二つあって、
一つは、
きちんとした権限を与えなかったから犠牲者が出たんだから、きちんとした権限を与えようという考え方。
それとも、犠牲者が出たから自衛隊は一切海外に出すな、引っ込めという議論と、どっちが出るかといえば、私は日本の場合は自衛隊は今後一切出すなという形になるんじゃないかと思います。
ちなみに私が岡山で警察本部長をやっていたとき、警察官がカンボジアで一人殉職しました。高田君という警察官が。そのときに外務省がなんと言ったかというと、「自衛官でなくて良かった、文民警察官でよかった」といった。それで日本の警察はかんかんに怒って、以来、日本の警察はPKOに一切出さないと言うことにしてしまった。
日本の場合は一人殉職者がでるというのは大変なことなんです。PKOは既にインド、フランス、カナダなどで100人近く死んでるでしょ。だけども日本は1人出ただけでも、当時の宮澤総理大臣は自分の内閣が倒壊するんじゃないかと思ったというんです。
かって、安保騒動のときに、学生が一人死んだときに、岸内閣は倒れた。ですから日本では1人死ぬと言うのは大変なことなんです。日本の国内にいても海外にいても危険はあるんだから、あっちゃ困るんですが、でも、万万が一ということがあると思いますけれど、もし今度の自衛隊が海外で殉職者が出たら、おそらく一切自衛隊は外に出すなという方向に行くんじゃないかと思います。
私は、大変残念ながら、それが一番心配だと思っています。
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